30代、未経験の業種・職種への転職は可能か
30代、未経験の業種・職種への転職の実情
30代で転職を考える際に、未経験の業種・職種へチャレンジしてみたいという思いを持っている方も多いのではないでしょうか。
一方で、20代なら未経験の業種・職種でも採用してもらえるが、30代だと厳しいという声も聞きます。
30代の転職での未経験の業種・職種への挑戦に関して、参考となるアンケートデータをご紹介します。
ビズリーチでは、会員向けに「未経験業種・職種への転職」に関するアンケートを実施しました。
Q:直近で未経験の業種・職種に転職をしたときの年齢を教えてください。
20代 | 29% |
---|---|
30代 | 35% |
40代 | 25% |
50代 | 11% |
直近で未経験の業種・職種へ転職した際の年齢を伺ったところ、約7割の人が30代以上と回答しています。
年代別で見ても、30代と答えた方は35%と回答者のなかで最も多いです。 そのため、30代は未経験の業種・職種への転職が十分に可能な年代といえます。
30代の転職、業種・職種のどちらを変えるか
では、実際に未経験の業種・職種に転職した方は、どのような転職をしたのでしょうか。
Q.未経験の業種・職種への転職は下記のどのパターンでしたか(30代の回答)
業種・職種ともに変えた | 50% |
---|---|
業種を変えた(職種は変えていない) | 37% |
職種を変えた(業種は変えていない) | 13% |
業種・職種の両方を変えたと回答した方が約50%、業種のみを変えた方が37%、職種のみを変えた方が約13% という結果でした。
したがって、30代の転職でも、業種・職種の両方を変えられる可能性はあります。
業種・職種のどちらかを変える場合は、職種はそのままで業種を変えるというパターンの方が多いです。
30代の転職は有利か?不利か?
また、未経験の業種・職種への挑戦ではないとしても、30代の転職は不利になるといわれることもあります。30代の転職は本当に不利なのでしょうか。
30代向けの求人自体はかなりの数があります。
30代となると、すでに社会人として一定の経験を積み、スキルを身に付けた方が多いはずです。
そのため、即戦力としての採用が増え、そういった求人においては、採用要件を満たせる可能性が20代のときに比べると高まってきます。 ビズリーチの実績でも、転職成功者の8割は30歳以上となっています(2018年6月時点 )。
したがって、30代は転職で不利な点は少なく、むしろ有利な年代ともいえるでしょう。
30代の転職、前半と後半で難しさは異なる?
転職と年齢の関係について、「35歳限界説」という言葉を耳にすることもあります。
しかし、ビズリーチでは、転職した人の約6割が35歳以上(2021年1月時点)となっており、30代後半・40代以上で転職した人は多いです。
そのため、30代後半だから転職できないということはありません。 30代前半に比べて、30代後半の転職が難しいといわれる背景に、期待されるスキル・専門性や求人数といったことが挙げられます。
30代後半となると、社会人経験が10年以上となる場合が多く、長い方だと20年前後の社会人経験があることになります。そのため、採用企業は高い専門性やスキル、マネジメントの経験などを期待することも多いです。これらが30代後半からの転職が難しいといわれる要因になっています。
しかし、スキルや経験が蓄積されたからこそ、採用要件を満たせる求人が存在するという側面もあります。そのため、重要なのは自分自身のスキル、経験を生かせる求人と出会うことだといえます。
30代の転職で求められるスキル・経験とは?
業種・職種に関連するスキル・経験
中途採用で重視されることは、候補者のスキルや経験です。中途採用市場では「即戦力となる人材かどうか」が重要なチェックポイントです。
採用要件に書かれることも多いのは、採用企業の業種・採用ポジションの職種に関するスキル・経験です。
30代は社会人経験の長さから、経験した業種・職種に関連するスキル・経験は、一定のレベルを期待される場合が多いです。
よって、30代の転職では、これまでの職務経験を踏まえて、自身のスキルや経験を整理しておき、アピールできるようにしておく必要があります。
マネジメント経験を求められることも
30代の転職では管理・マネジメント経験を求められる場合もあります。
特に30代後半ともなれば、マネジメント経験のある方の割合も増えてきます。マネジメント経験は書類選考・面接でも評価されるポイントの一つです。
組織・チームを率いた経験のある人は、職務経歴書や面接において、その経験をアピールすることを推奨します。
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30代で転職回数が多いことはどう評価されるか
書類選考では不利になる場面も
転職回数が不利になる場面として、よく挙げられるのが書類選考です。
最終的には転職に成功した方も、書類選考では転職回数がマイナスになったという方もいました。
書類選考段階では、これまでの転職の意図や、それぞれの会社で身に付けたスキルなどを十分にアピールできません。転職回数の多さをマイナスと捉える企業や担当者だと、不利になる場合もあります。
総合的には不利とは言い切れない
ビズリーチにも、30代の方が多く登録しており、現在の勤め先が1社目の方もいれば、30代ですでに5社以上を経験している方もいます。
しかし、経験社数が多いから転職が成功しないという傾向は見られません。
そのため、一概に経験社数が多いから不利というわけではありません。
経験社数の多さをどう伝えるかが重要
30代後半で転職を何度も経験している方もいました。その方々の転職経験談から、経験社数の多さをどう捉えるべきか、どう伝えるべきかをご紹介します。
まずは社数の多さを強みとして伝えられることが大変重要となります。
転職すると、新しい環境での挑戦となることがほとんどです。そうした挑戦の回数は、経験の幅広さにもつながります。
そのような経験の幅広さをどのように生かせるのかを整理し、転職回数の多さをいかにポジティブに伝えるかが重要です。
キャリアのなかで「セールス・マーケティング」という一貫した軸を持っていることを明確に伝え、経験の豊富さを強みとして見せられるように工夫した(30代/営業職/転職を6度経験 )
また、採用担当者が気にする点として、ネガティブな理由での退職・転職が多いのではないかという懸念が挙げられます。
これに関しては、自身のキャリアの一貫性や、自分の意志で決定したことを伝えることが重要となります。
転職回数の多い人は、過去の転職を振り返りながら、どのような基準で転職を決めたのかを整理しておくとよいでしょう。
私は転職回数が5回と多く、さらに3度の解散を経験するなど、一見ネガティブな動機で動いているように思われがちです。(中略)やりたいことや積み重ねたいキャリアにぶれがなかったため、転職活動のなかで、これまでの経歴がマイナスに働くことはありませんでした(40代/営業職/転職を5度、会社解散を3度経験 )
30代の転職の理由・きっかけで多いのは?
転職活動は「有利か不利か」「転職できるかどうか」などだけが重要なわけではありません。
転職活動を通して、何を実現したいのかということも重要なポイントです。
ビズリーチでは、ビズリーチ会員を対象に転職に関するアンケートを実施しました。(アンケート実施:2020年8月、回答数:947)
「転職しようと思ったきっかけは何でしたか」という質問に対する、30代の方の回答が下記となります。
Q 転職しようと思ったきっかけは何でしたか。(複数回答、上位5項目)
よりやりがいを感じられる仕事をしたいと思ったから | 52.0% |
---|---|
自身の市場価値を上げたいと思ったから | 36.7% |
昇進・昇給が望めないと思ったから/給与を上げたかったから | 26.5% |
未経験の業界・職種に挑戦したいと思ったから | 25.5% |
会社・業界自体の将来に不安があったから | 24.5% |
会社の考え・社風が合わなかったから | 23.5% |
アンケートの結果から、30代の転職を考えるきっかけの傾向としては、やりがいを感じる仕事がしたい・自身の市場価値を高めたいなどが多くを占めることがわかりました。 特に「自身の市場価値を上げたいと思ったから」と回答した割合は、全年代では26.6%であるのに対して、30代では36.7%と30代の方がやや高い傾向があります。
やりがいのある仕事・自身の市場価値の向上を求める人が多い
30代の転職を考えるきっかけの1位は、「よりやりがいを感じられる仕事をしたいと思ったから」です。仕事に対する価値観はさまざまですが、やりがいは仕事を続けるうえで、多くの人が重視するポイントといえます。もし今の仕事に「やりがい」を感じなくなったのであれば、それは転職を考えるきっかけになり得るでしょう。
30代の転職を考えるきっかけの2位は、「自身の市場価値を上げたいと思ったから」です。
日々の業務を通じて身に付く知識やスキルは確実にあるので、仕事を通じて自分が成長できるかどうか、そして自身のキャリアの選択肢を広げることにつながるスキルを身に付けられるかどうか、は仕事を選ぶうえで重要なポイントの一つといえるでしょう。
社会人としての経験が少ない20代と比べて、30代は一定の経験・専門性があることが多く、これまで身に付けたスキル・これから身に付けたいスキルを考える機会も少なくありません。
もし現在の職場では、今以上のスキルの向上が望めない・新たなスキルを身に付けられないのであれば、転職を考えることも選択肢の一つとなります。
給与・待遇への不満や経営状況の懸念などもきっかけとなる
不安・不満といったことも、転職を考えるきっかけになります。
30代の転職を考えるきっかけの3位は「昇進・昇給が望めないと思ったから/給与を上げたかったから」です。
「給与」が働く目的のすべてではありませんが、仕事の対価として給与をもらう以上、金額の多さというのも仕事選びの一つの基準になります。
20代の頃に比べて、30代になってからのほうが、生活に必要なお金が増えるということもあります。
現在の職場での昇進・昇給が難しいと感じた際に、より良い給与を求めて転職を考えるという状況は少なくないでしょう。
5位の「会社・業界自体の将来に不安があったから」は、仕事に対する不安の一つです。現職で長く働くことを想定しているのであれば、会社としての将来性やその分野の成長性なども考えるでしょう。
定年退職を想定している場合、30代は退職までまだかなりの年数がある年代です。将来を見据えて、今の会社や業界に不安を感じているのであれば、転職という選択肢を考慮に入れるというのは当然かもしれません。
転職活動にはどれくらいの期間がかかる?
3カ月以内という人は多い
一般的には、転職活動は3カ月ほどという声をよく耳にしますが、実際はどうなのでしょうか。
以下の表は、転職を考えてから、実際に他の企業に入社するまでの期間に関してのアンケート結果です。
Q:転職を考えてから、実際に他の企業に入社するまでにどのくらいの期間がかかりましたか。
2週間未満 | 1.2% |
---|---|
2週間~1カ月未満 | 4.7% |
1カ月~3カ月未満 | 34.4% |
3カ月~半年未満 | 32.9% |
半年以上 | 26.8% |
回答者の約4割が3カ月未満と回答しています。 おおよそ3カ月以内に、転職活動を完了し他企業へ入社している人は多いのは事実のようです。
一方で、3カ月~半年未満という回答が33%、半年以上という回答が27%あり、状況によって期間にはかなりの差があるということも分かります。 したがって、3カ月以内という人は多いものの、より長くかかる人も少なくないというのが実情といえます。
年代によって違いも
転職にかかる期間は年代によっても異なります。「1カ月~3カ月未満」と回答した20代は46.2%だったのに対し、50代では27.7%にとどまりました。年代別で見ると、年齢が高いほうが転職までに時間がかかる方が多いようです。
年齢が高いと、経験やスキルが豊富なため、即戦力として活躍できるポジションや管理職での採用が多くなります。しかし、そのような求人は、新卒や第二新卒を対象とした求人と比べると少なく、企業は採用要件に合ったスキルや経験があるかを見極めないといけないため、選考も慎重になり要する時間も長くなります。
30代の転職、うまくいかないときに考えるべきこと
キャリアプランの明確化
30代であれば、一定の年数は社会人として働いている人が多いと思うので、一定の専門性を持った経験・スキルが何かしらあるはずです。そういったスキル・経験をしっかり整理したうえで、あらためて今後の働き方を考えるとより現実的なキャリアプランとして明確化されます。 スキルを増やすためにあえてキャリアチェンジをして、新たな専門性を獲得するという選択肢もあります。あるいは、既に保有している専門性をとことん究めるという方法もあります。スペシャリストになるのか、あるいはジェネラリストになり管理やマネジメントの道に進むのかを決めるのが30代ともいえます。
自分の経験・スキルの整理ができているか
30代の転職は、20代の転職に比べると、即戦力として求められる場合が多くなります。
そのため、採用する企業側も、即戦力として活躍できるだけの経験・スキルを有しているかをより注視します。
30代であれば、一定の年数は社会人として働いている方が多いと思いますので、アピールできる経験・スキルが何かしらあるはずです。
そういった経験・スキルをしっかり整理したうえで、応募する求人に合わせて、書類選考・面接においてアピールすることが大変重要となります。
職務経歴書をしっかりと作成する
経験・スキルを整理のためにも、ぜひしっかりとした職務経歴書を作成することをおすすめします。
職務経歴書は、求人に応募する際に提出を求められることが多いので、簡単なものであれば一度は書いたことがあるという方が多いかと思います。
ただ、時間がなくて簡単な内容で済ませたという方も多いのではないでしょうか。 ビズリーチで転職に成功した方は、職務要約(職務経歴の要約に当たる部分)を平均で約366文字書いています。
あくまで一つの目安とはなりますが、30代の方であれば、これまでの経験や成果、そのなかでの自身の役割などをしっかりと掘り下げれば、300~400字ほどの文字数を書けるのではないかと思います。 職務経歴書をしっかりと作成することで、書類選考の通過率を高めることが期待できます。
また、自身の経験やスキル、成果が整理できるので、面接で自身のことをよりうまくアピールできるようになります。
30代の転職における年収アップの可能性を探る
転職で年収はどうなるか
転職を考えるうえで気になるポイントの一つは、年収が上がるのか、変わらないのか、下がってしまうのかという点です。
ただ、この点に関しては、同業種・同職種におけるキャリアアップを目指すのか、それとも未経験の業種・職種に挑戦するのかという転職の方向性や、これまでの経験・スキルなどによって大きく異なってしまうため、明確な傾向があるとはいえません。
そこで、自身の場合は年収がどうなりそうかを知るための方法をご紹介します。
転職の専門家に相談する
転職で年収がどうなるかを知る一つとしては、人材紹介会社やヘッドハンターなどといった転職の専門家へ相談することが挙げられます。 多くの転職者を支援している転職の専門家は、似た経験・スキルを持った方の過去の転職事例、現在募集中で紹介できる求人の年収がどの程度かなど、多様かつ具体的な情報を持っています。 相談することで、自身の経験やスキルがどう評価されるのかを知ることができ、転職成功の可能性の高い年収帯を把握できます。 また、自身の経験やスキルを活用して未経験の業種・職種へのチャレンジをする際に、年収がどのように変化しそうかといった、より具体的な相談をすることも可能です。
企業からのスカウトを受け取ってみる
企業からのスカウトを受け取ることでも、自身の年収がどうなりそうかの情報を得られます。
最近の転職市場では、企業の担当者などが面接したい方に直接スカウトを送ることも増えてきています。
その際、企業の担当者は採用したいポジションに合わせて、最適な経験やスキルを持った人にスカウトを送信しています。
スカウトには、採用したいポジションの求人が添付されていることが多く、その求人を確認することで、転職成功の可能性が高いおおよその年収帯を把握できます。
ビズリーチで可能性を探る
ビズリーチは、ヘッドハンターと企業の両方からスカウトが届くサービスです。
どのようなスカウトが届くかで、転職成功の可能性の高い年収や、自身の経験・スキルが客観的にどう評価されるのかを知ることができます。 転職サービスは、転職するときにだけ使うものと思われがちですが、まだ転職を本格的に考えていなくても、自身がどのような年収での転職が可能か、どう評価されるかを知るために登録している人も多いです。
また、考えていなかったような業種・ポジションのスカウトが届くこともあるため、スカウトをきっかけに転職を考え始める人も少なくありません。
一度、ビズリーチに登録して、自身の経験・スキルへの評価を把握してみてはいかがでしょうか。