年収2,000万円超の人座談会1 年収が上がっていく契機となったのは?

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年収アップは誰にとっても望みたいところです。今回は年収2,000万円を超えている3人に、キャリアの積み上げ方や、自己研鑽のありかた、仕事観などについて本音を伺いました。全2回の第1回です。 ※写真はイメージ。一部、個別に実施した聞き取りをもとに構成しています。

座談会参加者(本文中は、敬称略) Aさん:50歳。現在5社目で社内システムエンジニア(SE)の経験が長い。 Bさん:58歳。4社を経て、フリーランス。広報としての経歴が長い。 Cさん:41歳。IT事業会社1社を経て、コンサルタントとして独立。

50歳前で初転職 「年収は一気には上がらなかった」

これまでの職歴を教えてください。

A 学生時代にバンドを組んでいたこともあり、最初は音楽系の会社に就職しました。倉庫での商品管理からスタートした後で営業を経験し、途中でIT関連に職種を変えて以来、外資系生命保険会社、メガバンクグループ、外資系企業と業界を問わずに社内SEをやっています。今年7月に新たに小売りチェーンを展開する会社に入社しました。 B 私も初めだけ営業で、その後はずっと広報を担当しています。もともとアメリカの大学に通っていて、現地のビジネススクールに行く予定でしたが、「バブル期の日本企業を経験してもいいかな」と当時日系電機メーカーが募集していたインターンに応募し、そのまま就職して25年間も働いてしまいました。50歳を前にして、「このまま日本の会社に在籍し続けるのはどうなんだろう?」という疑問が湧いてきて、そこから外資系のヘルスケア企業へ転職。もう1社を経て、今はフリーランスの立場で働いています。 C 私は情報通信企業で、SEとしてキャリアを始め、11年間在籍しました。退職後にフリーとなり、プロジェクトマネジメントやITのコンサルティングをしています。形式上は会社の代表取締役です。

年収はどの程度なのでしょうか。

A 給与所得で確定申告が必要な額(2,000万円超)と思ってください。ただ、外資系の場合、新卒の2年分ぐらいの給料は平気で増減します。2、3年前は年収がすごく高くて、その後ガクンと下がって、今は持ち直しました。 B 私は外資系に移った途端、給与が増えました。ただ、転職直後の1社目は足元を見られるので、そこまで一気には上がりませんでした。ある程度キャリアを積んでレベルが上がってくると、RSU(譲渡制限付株式報酬)やインセンティブなど、いろいろつくので全部を合わせると2,000万円を超えます。 A 年収増という意味では、英語を覚えたのが大きな転機だったと思います。外資系の大手生命保険会社に入った当時、「英語は別にしゃべれなくていい」と言われていましたし、多分TOEICで300点もいかないレベルだったと思います。ただ、入社後にM&Aがあり親会社が変更となった結果、ネーティブの人たちの輪に放り込まれ、何とかコミュニケーションはとれるようにはなりました。英語の壁を越えることで、選択肢がものすごく増えました。英語が使える前提条件だと、紹介される案件の数と内容が格段に違ってきます。英語を必要としない案件ですと、年収の額面は半額になってしまうこともありますね。 C 私も1社目を辞めて以降、年収が上昇してきています。少しずつ経験を積んでいくなかで、時間あたりの単価が上昇し続けていて、現在はほかのお二人と似たような金額になっています。

収入が上がると、仕事のプレッシャーは強くなりますか。

A 外資系はパフォーマンスを徹底する文化なので、給料が上がるとプレッシャーはきつくなります。私の上司だった人は、不眠症の人が多かったですね。 C 私はフリーですが、あまり収入について考えてはいないんですよ。自分を売り込んでくれる営業の人がいて、仕事の単価を決めてくるシステムです。しっかり結果を出すと、高い単価で交渉できるようになっているようで、結果的に収入がついてきている感覚です。

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入社した初日から辞めたかった

最初の転職の理由を教えてください。

B 1社目の日系企業では、ミドル層からシニア層に向けて、2年間給与を保証され、その間に他の仕事をして次のステップにつなげるセカンドキャリア支援プログラムを実施していました。別の仕事で今よりも稼げるようになったら、新しい世界に羽ばたいていくというプロジェクトです。その制度を利用して、個人事業主として、コンサルティング事業を始めたら、後に転職する外資系企業から声がかかったという流れです。業務委託も考えたのですが、最終的には入社のほうがお互いにメリットがあるという結論になりました。 C 正直、1社目は入社した初日から辞めたいと思っていました。もともと電車も通っていないような山奥の出身で、「面白い人に会いたい」という思いだけで、就職とともに上京したんです。でも、大きい会社にいるとその中だけの付き合いだけになることに気づいて、自分の目的は果たせないなと感じていました。なので、在職中から、退職後にやりたい事業やプランを信頼できる上司に伝えていました。でも、そのたびに事業や収益、安定性など、自分が考え抜けていない部分を論破されて退職を諦めることを繰り返していたんです。でも、最後はあるセクションの財務担当となり、自分なりに事業をする自信もついたので、退職しました。 A 社内SEとして最初に入った企業は、環境整備を好きなだけやらせてくれたんです。その仕事が本当に面白くて、気付けば残業が月200時間を超えていたような状況でした。当然残業代もすごかったのですが、管理職に昇進したら年収が手取りで3分の2になってしまいました。その額面だと、当時のローンが支払えず家を手離さなければいけなくなったので、転職活動を始めました。その頃から、業界にこだわらず、社内の情報システム一本で経験を積むというキャリアプランは、できあがっていましたね。外資系の後にメガバンクに入ったのは、一時期外資系が嫌になったからです(笑)。でも、すでに根回しの文化に耐えられない体質になっていて、結局すぐに転職しました(笑)。今所属する小売りチェーンを展開する会社からは、直接スカウトを受けました。情報システムのセパレーションのフェーズにあり、相当大変ですが、いろいろ変えられる最大のチャンスでもある。仕事が面白そうだという理由で、転職を決めました。

楽しさや人を重視

仕事を選ぶうえで何を重視していますか。

A 会社を決めるときは、企業バリュー、仕事の内容、サラリーの3つのバランスで見ていますね。「サラリーが倍になるけれど、嫌な仕事しかしない」という話だったら断ります。長続きしないし、自分のキャリアの積み方として、時間がもったいないので。一日のうちのかなり長い時間を、仕事で拘束されるわけですから、嫌々やってもしょうがないじゃないですか。ですので、楽しいかどうかという点も重要視しています。 C 重視しているのは、業務内容よりも、一緒に働く人が面白いかどうかです。独立してから約9社の案件に入りましたが、契約更新にあたり、一緒に働く人の魅力を考慮して断った過去もあります。会社や役職ではなく、お互いに人間を見るような深い付き合い方をしてつながるのが、人生を充実させるためにもビジネスをうまく回すためにも、一番の近道だと考えています。今自分を売りこんでくれる営業の人も、趣味で開いていたイベントからつながりました。最初はただの飲み友達だったのが、趣味を通してよく会うようになり、しばらくして「システム開発の仕事があるので、やりませんか?」と声をかけられました。ビジネスより先に、人間関係があることが重要だと思っています。 本記事についての簡単なアンケートにご協力をお願いします。 アンケートはこちら

文:鈴木 工 掲載日:2022年9月26日