座談会参加者(本文中は、敬称略)
Aさん:40歳男性。転職経験なし。メーカー勤務。
Bさん:40代女性。メーカー勤務後、公立中学校の教員に。
Cさん:41歳男性。転職1回。メーカーから金融業へ。
「上司に登録を勧められた」
まずは簡単にご経歴と、ビズリーチのご利用状況を教えてください。
A 新卒から同じ企業に勤めています。メーカーで、エンジニアなど複数の職種をしてきています。グループの中に様々な事業があるので、異動するとほぼ転職のような環境になります。現時点では転職を検討しておらず、ビズリーチに登録したのは、実は「市場調査」のような業務目的です。詳細は言えませんが、調べたい業界でどんな求人がどんな条件で出ているかを知ることで、「あの会社はこういった事業に力を入れようとしているのか」といったことを把握する目的で利用させていただいています。 B ビズリーチには3年ほど前に登録しました。公立中学校で教員をしているのですが、ものすごく仕事での負荷が高まった時期で、他の可能性を考えようと。教員になる前に企業で働いていたこともあるので、一般企業への転職を検討しました。ただ結果としては、転職をせず教員を続けています。 C ビズリーチ経由で約2年前に転職しました。現在2社目です。どちらの会社でも人事業務を担当しています。登録のきっかけは前職の上司に「俺、転職サービスに登録してこんなオファーもらったんだ。君も自分の市場価値を知るために登録してみたら?」と勧められたことです。
当社としてはうれしいお話ですが、自分の部下にそう伝える方もいらっしゃるんですね。
C 転職自体を勧めているわけではないですからね(笑)。でも結果として、私はそれがきっかけで、今の会社に移りました。登録時点では全く転職の意思はなく、自分から積極的には活動していませんでした。ただ「仮に転職するなら」という条件だけは考えていて、「異なる業界」「規模感の異なる会社」で自分が活躍できそうなところというものだったのですが、今の会社からのオファーがたまたま条件に合って、結果として転職した形です。前職は全社員10万人規模の大手メーカー勤務でしたが、今の職場は数千人規模の金融関連の企業です。 A どんな転職活動だったのですか。 C 本当に待ちの姿勢だったこともあり、企業からのスカウトは同業の案件ばかりだったのであまり見ていませんでした。ヘッドハンターからの紹介でたまたま「ここなら」と思えた今の会社があり、そのまま決めた形です。面接したのも今の会社を含めて2社だけでしたね。
「社内の人事部より、相談相手にふさわしいことも」
Cさんは登録をきっかけに新たな可能性に出会われた、ということかと思いますが、Aさん、Bさんはサービスをご利用いただいたことで、ご自身のキャリア形成に関して何か気づいたことなどはあるでしょうか。
A ありますね。今の会社はグループ内に様々な事業があるので、「こんな分野のことをやりたい」と自分が思ったとき、社内にもいろんな可能性はあります。でも自社にない新規事業に関わりたいと思ったら、人事部に相談してもどうしようもないですよね。むしろ、社外でどんな会社がどんなポジションを求めているかを知ることの方が、キャリアに有益だと気づきました。 また「こんなスキルを持った人に入社してほしい」「こんな相手とコラボレーションしたい」などと考えるとき、それに合う人材が社内にいないことも考えられます。そうした場合の相談相手は、社内の人事部より、ビズリーチのようなサービスになるんだというのは発見でした。ちょっと回し者のような発言ですが(笑)。 B 私の場合、ビズリーチを利用したことで転職を思いとどまりました。登録したときは本当に体力的にも精神的にも負担がかかりすぎて、どうにか仕事を変えたいと思っていたのですが自分にできそうな求人などを見ていると、その時点においても自分の立場が恵まれているものだということが分かりました。 そうすると不思議と、仕事に対する納得感が高まったと言いますか。もちろんそれだけで負担が軽くなるわけではありませんが、精神的には楽になりましたね。また、実際に転職はしなくても、ビズリーチで世の中にいろいろある仕事を見ることで「異なる可能性はいくらでもある」と思えたことも大きかったですね。心理的なお守りのようなものだったと言えるかもしれません。
みなさん40代でいらっしゃいますが、これまでのキャリアの中で「転職」に対するイメージに変化はありましたか。
C 私は新卒の時は自分が転職するとは思っていなかったですね。でも30歳を少し過ぎたぐらいの頃から、キャリアのどこかで転職をする可能性があるかもと感じるようにはなりました。 A 私も新卒入社時点では転職のことは考えていませんでした。じゃあ今、いつか転職するかもと思っているかというと難しいですね。直接的な答えにはならないですが、やはり社内異動で大きく仕事内容を変えられるので、同じ会社にいながらにして転職をしているような思いです。そうしたことから、転職に対する抵抗感も、転職したいという思いもどちらも強くはないといった感じです。 B メーカーに勤めていたと言いましたが、実はもともと教員になりたいと思っていたんです。それとメーカー退社後、子どもの頃から続けていた趣味で生計を立てていた時期もありました。ですので私の場合、転職は割とキャリアの序盤から選択肢にありましたね。
「外部の選択肢」に気づけることが大事
ビズリーチをご利用になった経験を受けて、今後のお仕事やキャリア形成で意識しようと思っていることなどはあるでしょうか。
B ビズリーチだけが理由ではありませんが、転職することをやめて、今はまた仕事に前向きになってきたように思います。うまく言えませんが、世の中に仕事はあまたあると気づいたときに、今の仕事でしっかりと頑張ることは大事だと思うようになってきました。 実は子どもを産んでからしばらく、子育てのために担任を持たずに働いてきました。やむを得ないことではありますが、やはり業務面でセーブしなければいけないことがあるわけです。でもそうすると昇進は遅れ、収入も上がりにくくなります。教育費なども考えたとき、内心葛藤がありました。 でも子どもも大きくなり、久しぶりに担任を持つことになりました。打診を受けたときは悩み、子どもに電話して「仕事で帰りが遅くなったりするけど、やっていい?」と聞いたのですが、「いいよ」と言ってくれたんです。 1つの職場に長くいるとどうしても視野が狭くなり、「仕事でうまくいかないこと」を必要以上に深刻に捉えてしまうことがあると思います。でも相対的にみれば、その瞬間は苦しくてもその先には違う可能性があるかもしれません。外部の選択肢と比較しながら、現状を捉えることの大事さに気づきました。 C 自分自身の話でなくて恐縮ですが、前職の同僚や後輩にビズリーチや他の転職サービスへの登録を勧めるようになりました。かつての上司と同じことをしています。前の会社では生え抜きの社員で転職する人は多くなかったですし、仕事は会社にアサインされるものという意識もありがちで、「会社の外に出て活躍する」というイメージを持てない人が多かったと思います。 でも転職サイトに登録してオファーを受けることで、「これまでの自分の経験やスキルは無駄じゃなかったんだ」と気づくことができます。そして実際に一度転職して思うことは、転職は決して軽い決断ではないですが、以前思っていたほど深刻なものでもないということですね。
みなさんお子さんがいらっしゃいます。キャリア形成に関して、ご自身の経験からお子さんに伝えたいと思うことはありますか。
A 最近まで、子を持つ親として「自分の背中を見せてあげよう、そのためにしっかりしよう」という意識を強く持っていました。それはそれで大事なことと思いますが、子どもが成長するにつれて、「それ以外の可能性」に気づかせてあげるのが大事だなと思うようになりました。 仕事って世の中にいっぱいあって、いろんなやりがいがあるわけですよね。親では伝えられない楽しさややりがいがあるし、そもそも親も気づいていないこともある。だとすれば、子どもが「これだ!」って思える道を見つけやすいように、自分以外のいろんな「働く人」の姿を子どもに知ってもらいたいと思うようになりました。外にある可能性を意識できるようにしてあげたいと思います。 B すごく共感します。自分自身のキャリアを振り返っても、個人に見えているものって決して広くないと思います。だからこそ、それ以外の可能性に気づけるようにしてあげたいと思います。 でも1つ思うのは、自分もそうでしたが、子どもってある程度の年齢になったら、親が「こうしろ」と言っても聞かないじゃないですか。息子は私が何を言ったわけでもないのに警察官になりたいと言っています。私は「自分自身が誇れるように働いて、その姿を見せてあげたい」と思っているのですが、息子も警官になりたい理由を「自分が誇れる仕事をしたい」と言っていて、見せてあげられるものは「働く姿」なのかなと。 C 私自身もそうでしたが、キャリアの選択で「これが正解」と分かることなんてないですよね。親の立場からすると「こっちの道の方がよさそう」「それを実現するならこういうやり方がある」と思うことはあるわけですが、それはいったん置いておいて、子どもが「やりたい」と思うことに寄り添いつつ、どうすればできるか一緒に考えてあげたいと思っています。 やってみて、本人が「これじゃない」と感じたなら軌道修正をすればいいのだと思います。大事なのは軌道修正できるということを知っておくことで、はじめから失敗しないことではないのではないでしょうか。子どもも大人もそう変わらないかもしれませんね。親や他人から見れば「それはやめとけよ」と思うことでも、試しにやってみて結果を受け止めることで本人の中に「軸」ができあがっていくのだと思います。やる前から、いろんな可能性を否定する必要はないですよね。 本記事についての簡単なアンケートにご協力をお願いします。 アンケートはこちら
掲載日:2023年4月28日