自己啓発とは
自己啓発とは自身の思考や能力を高めること
自己啓発とは、自らの意思によって自身の能力や思考を高めることです。 自己啓発の目的は人によってさまざまで、今の仕事においてより大きな成果をあげる、仕事の幅を広げる、キャリアアップを目指す、新たな職種や業種に挑戦することなどが例として挙げられます。
自己啓発は自らの意思によって行われますが、その過程においては第三者による指導や助言などが入ることもあります。
自己啓発が必要とされる背景
技術革新や社会の変化に対応するために、ビジネスパーソンは自身の能力・知識を絶えず更新することが必要です。
キャリアという観点でも、以前に比べると終身雇用を前提としたキャリア設計が難しい場合も出てきており、会社に依存しなくても自立できるだけの知識やスキルがあることが重要です。
ビジネスパーソンとしてのキャリアを充実させるためには自身を磨き続け、自身の市場価値を高め続けることは多くの人にとって重要になります。このような理由から、自己啓発はますます必要とされているといえるでしょう。
自己啓発の効果とは
自身のパフォーマンス・生産性の向上
自己啓発によって得られる効果としては、業務におけるパフォーマンス・生産性の向上があげられます。 自己啓発を通じて仕事に直結する特定の知識やスキルを身に付けることで、パフォーマンス・生産性の向上につながるでしょう。この場合、身に付けた知識・スキルを、実際の業務でどのように活用するかの具体的なイメージを持ったうえで、自己啓発に取り組むことが重要です。
給与や待遇が良くなる
自己啓発の結果として、パフォーマンス・生産性が向上すると、それに付随して給与や待遇が良くなる場合もあります。 自己啓発の年収に与える影響として、内閣府が2018年に調査結果を発表しています。
30歳以上の男女を対象に、学歴・年齢・世帯年収・世帯構成・就業形態等の個々人の属性から、自己啓発を行った人と同様の属性をもっているが自己啓発を行わなかった人が、1~3年後にどの程度の差が生じているかを分析しました。 その結果、自己啓発を実施した人と実施しなかった人の年収変化の差額は、1年後には有意な差はみられませんでしたが、2年後では約10万円、3年後では約16万円でそれぞれ有意な差がみられました。
この調査では、自己啓発の有無と年収の関係について、1年後には有意な差が見られなかったものの、2年後・3年後には、自己啓発を行っている人のほうが年収が上がっているという結果になっています。 このことから、自己啓発は給与・待遇の改善につながることもあるといえます。
就職・転職の成功率が上がる
先と 同じ内閣府の調査では、
非就業者が自己啓発を実施すると、就職できる確率が10~14%ポイント程度増加することが示唆されている
という結果も発表されています 。
就職できる確率の場合、 年収の場合と異なり1年後から有意な関係がみられています。自己啓発を行うことで、キャリアの選択肢を広げることが一因となっている可能性は高いでしょう。 また、同調査では、
技術革新に伴い必要性が高まる分析・対話型業務の職業への移動に関しても、自己啓発は1年後から有意に就業確率を高める効果を持っていることが示唆される
という結果も掲載されています。分析・対話型業務とは、機械による代替が困難と思われる業務を指します。
こちらも、自己啓発によって、今後の社会でも必要とされる業務の知識を身に付けることが、キャリアの選択肢を広げることにつながっている可能性が高いといえます。
自己啓発にはどのような手段・方法があるか
関連書籍を読む
取り組みやすい方法の一つとして、書籍を利用することが挙げられます。 自己啓発における書籍というと、いわゆる自己啓発書と呼ばれるような考え方・行動の仕方に言及するものを想定する人も少なくないですが、書籍による自己啓発はその限りではありません。
自身の専門分野に関する知識を深める本や、幅広い業種・職種で業務と関係するIT・会計・法律などの本、技術革新に関連する本などで、知識を得ることその知識の活用法を考えることも、書籍を利用した自己啓発といえます。
イベントやセミナーに参加する
イベントやセミナーに参加することも一つの方法です。講演形式の大規模なイベントから、参加者同士の議論や交流などを含めた小規模なセミナーやワークショップまで、様々な自己啓発の機会が用意されています。 少額ではない料金が発生するもの、受講完了までに時間を要すものも多いので、内容を精査したうえで、明確な目的意識をもってイベントやセミナーに参加することが重要です。
通信講座を利用する
通信講座を利用することも有効な手段の一つです。特に、資格取得を目指す通信講座などは種類が豊富にある場合も多いです。 たいていは、通学するよりも安価の場合が多く、時間や場所の制約を受けないため、忙しい社会人にとっておすすめの方法といえます。 ただ、通信講座も少額ではない料金がかかる場合も多いため、利用する際には目的を明確にしておくことは重要です。
通学をする
大学・大学院に通って学び直すことも方法の一つです。 ただ、 欧米に比べて日本の社会人で、学び直しに取り組む人は多いとはいえません。 内閣府の調査では、25~64歳のうち大学等の機関でフルタイムの教育を受けている者の割合をOECD諸国で比較すると、日本の割合は2.4%と、英国の16%、アメリカの14%、OECD平均の11%と比較して大きく下回っていることがわかりました。 どのようなカリキュラムを選択するかにもよるものの、通学は休職する必要がある場合も少なくありません。そのため、自身のキャリアプランを充分に検討したうえで、取るべき手段といえるでしょう。
自己啓発で高めることができる代表的なスキル
スキルの分類とは
自己啓発を行ううえでは、どのようなスキル・知識を身に付けるのかを事前に検討することが重要です。 スキルの分け方の一例として、ポータブルスキルとテクニカルスキルという分け方があります。 ポータブルスキルとは、業種や職種が変わっても通用する「持ち運び可能な能力」と定義されています。ポータブル、つまり「持ち運びができる」という意味からできた言葉になります。ポータブルスキルを高めておくことで、未経験の業種・職種でも活躍できる可能性が高まります。 一方、テクニカルスキルとは、特定の業界や職種で必要とされる能力のことです。仕事や業務を適切にこなすために必要となる専門的知識や技術、業務遂行能力などのことを指します。特定の業界の商品知識やツール、システムの使用経験などもテクニカルスキルに含まれます。デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速している今、そのような領域に関するテクニカルスキルはますます重要になってくるといわれています。
ポータブルスキル
2018年に内閣府が発表した「平成30年度 年次経済財政報告」の中に、企業が今後重視する能力に関する調査があります。 その調査で、企業が求める能力として上位に挙がっていたものとして、
・マネジメント能力 ・専門的な知識、技能 ・コミュニケーション能力 ・創造性 ・営業力、接客スキル ・分析力、思考力 ・協調性、周囲との協同力 ・ITを使いこなす力
が挙げられています。 このうち「専門的な知識、技能」に関しては、特定の業種・職種の専門的な内容となる場合も多いため、テクニカルスキルといえます。
一方で、それ以外はポータブルスキルに該当すると考えられ、企業が求める能力としてポータブルスキルに該当するスキルは非常に重要だといえます。
自己啓発を通してどのようなポータブルスキルを身に付けるべきか迷う場合は、上記の項目の中で、自身の今の業務に生かせそうな能力、自身がより磨くべきだと感じる能力が何かを考えてみるとよいでしょう。
テクニカルスキル
テクニカルスキルは、特定の業種・職種で必要とされる専門的な知識です。IT業界ではプログラミングやシステム設計などに関する知識のようなものが挙げられます。
テクニカルスキルは、業種・職種で大きく異なるため、共通で学ぶべきものが存在するわけではなく、自身の業務領域に合わせて、何の知識をより深めるべきかや追加でどんな知識を身に付けるべきかを考えることになります。
一方で、需要の高まっているスキルも存在しているため、参考としてご紹介します。 たとえば、ビズリーチでは2020年に企業の採用担当者とヘッドハンターがレジュメを検索する際に使用したキーワードのうち、前年と比較して検索数が上昇したキーワードを算出し、「レジュメ検索トレンドランキング2020」として発表しました。
その結果では、DX関連のキーワードによる検索数が上昇しています。「DX」というキーワードの検索数は昨年の27.3倍となり、また上位には「SaaS」「クラウド」などのキーワードもランクインしています。 これらのDX関連のテクニカルスキルは需要が拡大しているといえ、新たなスキルを身に付けたい場合などは、こういった需要の高まっているスキルを選択することも一つの考え方となります。 参照:ビズリーチ、「レジュメ検索トレンドランキング2020」を発表 。2020年は「DX」「SaaS」が急上昇
自己啓発に取り組む際の注意点
身に付けるべきスキルを明確にする
仕事に生かすための自己啓発は、具体的に高めたい知識やスキルがあることが動機となっている場合がほとんどです。自身の業種や職種を考えたときに、身に付けることによってアドバンテージとなるようなスキルを見極めてから自己啓発に取り組むとよいでしょう。
ブレない目的意識を持つ
自己啓発はそれ自体が目的ではありません。自己啓発によって高められた自身の知識やスキルを活用することによって、実現したい未来があるからこそ自己啓発に取り組むのではないでしょうか。自己啓発には時間と労力、そしてコストがかかります。明確な目的意識を持って「何のための自己啓発か」を常に意識するようにしましょう。
影響され過ぎないようにする
自己啓発においては書籍にしてもセミナーにしても、受け手にとってインパクトのあるような言葉が用いられる場合もあります。全てを取り入れようとするのではなく、自分の中に軸を持って、取捨選択することが必要な場面は少なくないでしょう。
費用対効果を考える
自己啓発には効果の高いものからあまり効果を期待できないものまでさまざまあるので、慎重に選びたいものです。セミナーであれば料金相応の講師や内容なのか、通学であれば学費に見合った授業時間やカリキュラムが確保されているかなどを確認し、費やす時間とお金に見合った効果を得られるかどうかをしっかりと確認しましょう。
自己啓発で身に付けるべきスキルを見極めるには?
目標とする自分像から逆算して、獲得すべきスキルを見極める
先述したようにスキルの種類は豊富にあるので、これらの中から自身が獲得すべきスキルを見極める必要があります。そのためには、なりたい自分像をイメージし、そこから逆算するような形で今の自分に足りないスキルを考えると良いでしょう。できるだけ具体的に道のりを考え、獲得すべきスキルにプライオリティーをつけてみましょう。
自身に必要なスキルの見極めには第三者の意見も取り入れよう
今の自分に足りないスキルを正しく知るためには入念な自己分析が必要です。自己分析は自分だけで完結させずに、社内の関係者(上司など)に聞くという方法があります。しかしながら、それらの方法では主観が強く、日頃から接している社内の関係者からの意見は、あくまで社内における評価軸が基準になっているなどの課題もあります。
そこで、他の方法として転職支援のプロフェッショナルであるヘッドハンター・転職エージェントからの客観的な意見をもらうことをおすすめします。
ビズリーチは、厳選された一部のヘッドハンターのみが登録されており、ビズリーチに一度登録すれば複数の転職エージェントとの面談を通じて、自己分析やスキル・キャリアの棚卸しについてのアドバイスをもらうこともできます。さらに、これまでの経験や実績などを客観的な視点によって分析し、今後必要なスキルをキャリアプランに沿って洗い出してくれるかもしれません。 転職活動中の方も、まだ転職活動を始めていない方も、ぜひビズリーチに登録して、自身の今のスキル・今後身に付けるべきスキルを見直してみませんか。