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熊本県西部、八代海に浮かぶ大小120余の島々からなる天草市。人口約8.5万名の諸島で今、地方創生の機運が高まっている。2年間(※)で新規創業58件、新規雇用179名。立役者は天草市起業創業・中小企業支援センター「Ama-biZ(アマビズ)」だ。 公募期間:2019年12月5日~2020年1月1日
東京を離れ「究極の島おこし」を通じて見つけた、仕事と生活の真の豊かさ
熊本県南西部に浮かぶ大小120あまりの島々からなる天草市。南国リゾートさながらの温暖な気候で、透明度抜群の海ではイルカが群れをなして遊び、世界文化遺産に登録された崎津集落をはじめ潜伏キリシタン関連施設が島中に点在する、異国情緒を感じさせる風景が広がっています。 そんな天草市に、いま話題の「中小企業のための相談所」があります。天草市起業創業・中小企業支援センター、通称「Ama-biZ(アマビズ)」です。「中小企業支援の切り札」との呼び声が高い「静岡県富士市の富士市産業支援センターf-Biz(エフビズ)」をモデルとした「自治体主導の常設相談所」として、「愛知県岡崎市のOKa-Biz(オカビズ)」に次ぐ、全国で2番目の「Biz」として2015年に開設されました。 人口で比較すれば、富士市の約25万人、岡崎市の約38万人に対して、天草市は約8万人。しかも離島とあって、当初は「うまくいくはずがない」という声もありました。しかし、「f-Biz」「OKa-Biz」と同様の成果を挙げ「f-Bizモデルはどの町でも通用する」と証明したのが「Ama-biZ」でした。その取り組みは注目を集め、2018年には3度も全国放送に取り上げられました。 その「Ama-biZ」が現在、運営の中核を担う副センター長を募集しています。その狙いや仕事のやりがい、天草市の魅力を、自身も東京からの移住者であるセンター長の内山隆氏に伺いました。
民宿の「当たり前」の発信を提案。結果、宿泊客が3倍に
──「Ama-biZ」は開設から5年目を迎えられたそうですね。まずは、これまでの取り組みについて教えてください。 「Ama-biZ」は、2015年に天草市の経済活性化のために開設されました。現在、「f-Biz」モデルの中小企業相談所は検討自治体を含めると全国に25を数えますが、「Ama-biZ」は「f-Biz」をモデルとした「自治体主導の常設相談所」としては愛知県岡崎市の「OKa-Biz」に次ぐ2番目のBizとして誕生し、この4月に4周年を迎えることができました。この4年のあいだに寄せられた相談件数は5,913件。そのなかから売り上げアップの事例はもちろん、115件の創業、323名の雇用も生まれました。 ──ものすごい数の成果ですね。たとえば、どんな事例があるのでしょうか。 ご自宅を改装されて、60歳を超えてから新規に民宿を起業された女性がいました。民宿をオープンしたものの、初めてのことで客足も売り上げも今すこし伸び悩み、なんとかならないかと「Ama-biZ」へいらっしゃったんです。 私たちはまず、じっくりと相談者の話に耳を傾けます。するとご本人が当たり前だと思っていることに、「なんてすごいんだ」と思うような事実が隠されていることが多いんです。その民宿の場合、「ジャージー牛の乳搾り」や「無人島磯遊び」など珍しい体験を提供されていたほか、敷地内で牛や鶏、野菜などを育てていらっしゃいました。しかし、Webサイトなどを見ても文字では書いてあるが、ビジュアルでは伝わらない。そこで、この「売り」を明確にして、現在の取り組みをアクティビティーとしてメニュー化すること、食材へのこだわりを明示すること、ブログやSNSなどをつかった、無料の情報発信とパンフレットの作製をご提案しました。コツコツと取り組まれた結果、「ネットで見ました」というお客様が増え、宿泊客数は1年で3割増え、翌年からの2年では3倍になりました。
もっと売り上げアップを実感していただけるよう「提案力」を強化したい
──すごい成長ですね。たくさんのご相談が寄せられ、成果も生まれているなかで、今回、副センター長を募集する背景を教えてください。 4年で6,000件近いご相談が寄せられているとはいえ、お越しになっている事業者の数は、天草市全体から見れば2割ほどです。見方を変えれば、まだ8割の事業者の方のお役には立てていないということ。より多くの方にご利用いただけるよう、5年目はさらに体制を強化したいと考えています。副センター長募集もその一環です。
熊本を訪れて見つけた「地に足のついた生活」
───内山さんご自身はなぜこの仕事を選ばれたのですか。 ターニングポイントになったのは、東日本大震災です。当時、臨月の妻と長女と、東京で暮らしていたのですが、都市圏のもろさを痛感し、実家である富山に避難。4月には次女が生まれ、子育てに適した環境を探していたところ、ご縁があり熊本の南阿蘇を訪れる機会がありました。そこで目にした雄大な自然と食の恵みと、自然に寄り添いながら暮らす人々の姿。「あ、これこそ地に足がついた生活だ」と移住することに決めたんです。天草に移住したのは、その4年後。水産業をはじめ、さまざまな産業で雇用を増やし、天草を元気にしようという「Ama-biZ」の理念に共感。立ち上げに手を挙げたところ、採用されて天草での生活がスタートしました。QOL(quality of life:生活の質)は格段に上がりましたね。仕事もプライベートも大切にしながら、ただ消費するだけじゃない豊かなライフスタイルを実現しています。 ──ご家族の反応はいかがでしたか。 「Ama-biZ」に挑戦することには賛成してくれましたが、母子が南阿蘇で築いたネットワークを大切にしたいという妻の意見があり、家族会議の結果、私が単身赴任することになりました。
企業のトップに直接提案できるからイノベーションが起きやすい
──なるほど。内山さんが単身赴任をしてまで続けようと思う、この仕事のやりがいはなんですか。 社長に直接お話をうかがって、ご提案をして、結果を出すお手伝いができる。さらに、それが地域の活性化につながる。こんなに幸せなことはないと感じています。私は以前、東京の外資系コンサルティング企業に勤めていた経験がありますが、お客様が大企業であるほどやりとりをするのは現場の責任者の方々。「上に通すためにどうするか」など本質的ではない部分に多くの時間が割かれ、役に立てている実感が持てない場面も多かったんです。その点、この仕事はトップとともに取り組める。だからこそ行動も早いし結果が出るのも早い。小さな企業の方がイノベーションを起こしやすいんです。 また、「離島は日本の未来」ともいわれます。今後、高齢化や少子化、人口減少など日本が直面するであろう課題に先んじて直面しているともいえます。つまり、ここで成果を出すことができれば、日本の希望になれるということです。コンサルタントとして、こんなにやりがいのある環境はないですよ。 ──最後に応募者へメッセージをお願いします。 中小企業支援を通じた「究極の島おこし」を私たちと一緒にしませんか。ビジネスコンサルティングを行うスキルや経験はもちろん、島の人たちの懐へ飛び込む人懐っこさを併せ持つあなたなら、きっとすぐに活躍できるはずです。天草市は、魅力と、課題と、ポテンシャルあふれる場所。豊かだからこそチャレンジしまくれる、日本一のチャレンジアイランドです。そこでぜひあなたの力を発揮してください。ご応募、お待ちしています。
天草市起業創業・中小企業支援センター Ama-biZ/センター長 内山 隆 富山県出身、1966年生まれ、1989年東北大学理学部卒。 アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)にてコンサルティング業務に従事。ITから組織変革まで幅広く関わった後、企画・製作会社やIT企業にて、中小から大手までさまざまな規模の企業に向けた提案型の制作サービスに携わる。非営利のエコ健康住宅会社の起業に参画後、南阿蘇に家族で移住。廃校利用や自然エネルギーのNPOに勤務し、熊本市では自らNPO法人を立ち上げ代表理事に。これまでのキャリアとネットワークの全てを駆使して天草の活性化に貢献すべく2015年に「Ama-biZ」へ。
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一般社団法人天草市起業創業・中小企業支援機構
熊本県南西部の大小120余の島々からなる天草市。人口約8万人が暮らすこの街は、熊本市・八代市に次ぐ県内人口第3位の都市で、本土(北海道・本州・四国・九州)と橋でつながっている離島自治体のなかでは国内最大級の都市です。天草市には食とイルカウォッチングに代表される豊富な海の恵みや、世界文化遺産に登録された崎津教会に代表される潜伏キリシタン関連施設などもあり、最近では国内外からの観光客が増えるなど注目度はますます高まっています。一方で「島」という地理的条件、重くのしかかる物流コストなどビジネスにおいては難度の高いエリア。高齢化による労働力人口の減少や中小企業の売り上げ不振などの大きな課題も抱えています。そこで2015年に設立されたのが「天草市起業創業・中小企業支援センターAma-biZ(アマビズ)」です。「Ama-biZ」は、「中小企業支援の切り札」といわれる「富士市産業支援センターf-Biz(エフビズ)」をモデルとした中小企業の経営相談所。4年間で5,913件の相談が寄せられ、2018年には全国放送に3度も取り上げられるなど注目を集めています。しかし、相談にお越しになっているのは天草市の全事業者のうちの約2割。一社でも多くの中小企業の役に立てるよう、提案力の強化を図るために副センター長を募集します。ぜひあなたの力を貸してください。