公益財団法人ハイパーネットワーク社会研究所

誰もがAIを健全に使える社会へ。大分県からモデルケースをつくる
大分県を拠点に活動する公益財団法人ハイパーネットワーク社会研究所(以下、ハイパー研)。元Google副社長の村上憲郎氏を理事長に招聘し、高度情報化社会の円滑な実現を目指してさまざまな取り組みを行っています。同研究所に所属し「AIビジネスプロデューサー」として働く醍醐味とは。理事長と所長、そして大分県庁内の先端技術挑戦課課長の3名にお話を伺いました。
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募集期間:2023年4月4日(火)〜 2023年5月1日(月)
本ページの求人は、「プレミアムステージ」をご利用でなくても、ビズリーチ会員であればどなたでも閲覧、応募が可能です。「第4次産業革命」に向け、地場産業へのAI技術の普及を目指す
理事長/村上 憲郎 ──まずは、ハイパー研の概要や活動内容について教えていただけますか。 ハイパー研は、高度情報化社会の円滑な実現を目指して、1993年に創設されました。以来、さまざまな情報通信技術の普及、安心・安全な利用環境の促進といった取り組みを続けています。 活動の柱は主に、調査研究、普及啓発、人材育成の3つ。最新のテクノロジーを自ら使いこなしつつ、導入現場の声を集め、活用の実態や成果をリサーチするなどの調査研究を行います。そして得た内容を周知し、テクノロジーがよりよい形で生かされるような普及啓発をしています。また、それらの取り組みを推進して社会に広めていくため、学生から社会人、シニアなどの幅広い世代を対象にした講座の開催や、中小企業や教育現場でのAI活用に向けた活動を大分県内を中心に行っています。 ──2019年12月には「大分県内で、だれでも、いつでも、どこでも、好きなようにAIテクノロジーを使うことができる社会の実現」「健全なAI社会の推進」を目的として、おおいたAIテクノロジーセンターが設立されました。この組織を立ち上げた背景や活動内容を教えてください。 おおいたAIテクノロジーセンターは産・官・学が連携した組織で、ハイパー研が事務局を務めています。当センターの役割は「AI技術の社会実装」です。AIの普及を促進し、ビジネスや学術研究、日常生活で活用してもらうための取り組みを展開しています。 現在のICT(情報通信技術)について語るうえで、「AIの急速な発展・普及」は欠かすことのできない要点の一つです。そして、その背景にはGPU(Graphics Processing Unit)の進化があります。このGPUは並列演算を得意とし、コンピューターグラフィックスといった描画処理だけにとどまらず、ディープラーニングを土台にしたAIの領域でも広く活用されるようになりました。 AIが社会を根底から変える「第4次産業革命」が起ころうとしている今、こうしたAI技術の社会実装を促進するために設立されたのが同センターです。まずはGPUを用いたAI技術を大分県内の地場産業に採り入れ、それらに携わる方々に使いこなせるようになってもらうため、技術や事例の説明をしたり、実際に体験していただく講習会やイベントを実施したりしています。 また、GPUを現場で実際に使ってもらうため、2021年1月には大分県、株式会社NTT PCコミュニケーションズ、当研究所のあいだで三者協定を締結し、県内企業・組織の皆様に利用いただくためのGPUプラットフォームを提供できるようにしました。 さらにGPUを使いこなすためのスキルも必要ですから、県内企業の技術者に向けた研修会も企画・実施し、現在SIerとして活躍されている方が「AIer」となってAIビジネスを創出・推進できるような取り組みも行っています。
自動化による省力化・作業効率化を実現。AI活用を全国へ広げたい
AIによる画像識別で混入異物を除去。この工程の自動化によって、製造ラインを24時間稼働させることが可能に。 ──おおいたAIテクノロジーセンターが手がけた施策事例を挙げていただけますか。 当センターを立ち上げてすぐにご相談いただいたのが、ひじきの産地偽装問題でした。経験豊富な職人の方であれば目視だけで産地偽装を判断できるのですが、その識別のハードルは高く、早い段階で「AIでは対応できないだろう」という結論が出されました。 しかし、ひじきの加工製造工程における課題の洗い出しを徹底的に行ったところ、唯一自動化できていなかった混入異物の除去工程に目をつけ、AI活用を検討することとなりました。そしてAIによる画像識別を用いて、ひじきの中に紛れ込んでいる貝殻やゴミなどを認識し、そこで異物と判定されたものをふるい落とす機器が完成。現在は製造ラインの一つで稼働しています。 ──この取り組みによってもたらされた成果やメリットは何でしょうか。また、今後注力したい取り組みも教えてください。 ひじきの加工製造工程において、この混入異物除去の工程だけが長らく人の目と手に頼って行われてきました。これ以外の工程はすべて自動化が果たされているので、この混入異物除去工程さえ解決できれば、製造ラインを24時間稼働させることも可能だったわけです。こうしたボトルネックを解消し、作業の効率化を実現できたことが、この施策のもっとも大きな成果と感じます。 昨今、スタッフの高齢化や人材不足が進むなかで、人員の効果的な配置や業務の効率化に悩む企業は少なくありません。今示したような、製造ラインにおける一部分のAI導入だけでも、人件費の軽減が進み、より価値のあるところに人員が配置されるという状況を生むのです。 このような地場産業の課題解決、そして価値創造につながる施策をもっと多く生み出していくため、今後も引き続きプレーヤーを育て、増やしていこうと思います。そうした取り組みを通じて、大分県内で育ったAI開発者が大分県外のAIプロジェクトで活躍するなど、日本各地にある地場企業の活性化に貢献できたらうれしいですね。
「AI利活用」の芽を多様なプレーヤーと共に育み、大きな花を咲かせる
所長/青木 栄二 ──今回、副業兼業で募集される「AIビジネスプロデューサー」が必要とされている背景について教えていただけますか。 ハイパー研がおおいたAIテクノロジーセンターを立ち上げてから3年、われわれの取り組みを知り、関心を持つ地場企業は確実に増えました。また社会的に見ても、AI活用への理解がここ数年で急速に深まってきたように思います。そうした環境の変化もあり、現在はビジネスアイデアを含め70件以上の相談が当センターに寄せられている状況です。 当センターが一つ一つの案件に伴走していくことで、小さなビジネスアイデアが具体的なビジネスモデルや実施計画へと進化していく。そうした手応えから「より多くのAI実装が社会で求められる」「AIがより身近になり、さらに多くのソリューションを生み出すに違いない」といった確信を覚えるようになりました。ならば次の対策を積極的に検討する時期だと考え、体制の強化を図ることにしたのです。 ──AIビジネスプロデューサーがどのような役割を担うのか、どのような経験やスキル、マインドを持った方を求めているのかをお聞かせください。 当センターにはAIを活用したビジネスアイデアや、AIを用いた課題解決に関する相談も寄せられます。そういったアイデアや課題について、事業者の皆様と共に実現・解決・実装していくことが、われわれの大きなミッションの一つです。 そのなかでAIビジネスプロデューサーは、AIを活用したビジネスアイデアや課題解決を事業者の皆様と伴走して、実現・実装していく役割を担います。企業や現場と密接にコミュニケーションをはかり、課題解決に最適なAI導入案をこちらから提案していく能力が必要です。 また、ヒアリングや課題抽出だけでなく、その後の要件定義、ソリューションの検討・提案、事業計画立案や実行のために必要なアクション、プロジェクトを実際に推し進めるためのスピード感や、分析力、調整力も必要です。活動にあたって、現場確認や情報の共有などAIセンターの担当と協力しながら、円滑に案件を遂行していける人材を期待しています。 働き方としては、業務委託として副業や兼業で参加してもらいます。事業者へのヒアリングや関係先とのミーティングなどはオンラインでも行えますので、基本的にはリモート中心で働けるでしょう。ただし現場にも足を運び、実際に現場を見聞きする必要もありますから、状況に応じての出張も想定しています。
これまでの経験にはない「広がり」が生まれるような仕事
──AIビジネスプロデューサーとして働く面白さや仕事の醍醐味とは何でしょうか。 昨今、AIの利活用が求められる業種や分野は多種多様なので、当研究所での仕事は必ずといってよいほど「新たな分野への広がり」が生まれます。好奇心と柔軟性、そして自分から能動的に動く意欲さえあれば、過去の経験にはなかった案件にも参画できることでしょう。もちろん「特定の領域に注力したい」という選択も可能です。また、多くの方々が関わるプロジェクトに参画することで、自らの発想やネットワーク、経験を広げていくこともできるでしょう。ひいてはこれらが、仕事の面白さや醍醐味に通じると思います。 それから当研究所は、コロナ禍よりも前からICTを利用した時間や場所にとらわれない働き方を実践し、テレワークやワーケーションにも積極的に取り組んできました。前例にとらわれず、価値ある仕事に効果的・効率的に楽しく取り組める職場だと自負しています。 今回募集するポジションには、当然ながら技術的な知識がある程度は求められますが、それがすべてではありません。むしろ「AIが社会に実装され、日々の暮らしがより豊かに、より便利になる」「誰もが自由な生き方や働き方を選択できるようになる」というビジョンの実現に、やりがいや喜びを感じることができるかどうかが重要です。そう聞いて「面白そう」と感じたのであれば、ぜひ応募していただきたいです。
先端技術への挑戦を掲げる大分県で、縦横無尽に活動してほしい
大分県商工観光労働部 先端技術挑戦課 課長/佐藤 元彦 ──佐藤さんが所属されている大分県庁の「先端技術挑戦課」について教えてください。 大分県は「先端技術への挑戦」を政策の大きな柱の一つとして掲げています。IoTやロボット、AIといった先端技術を活用し、地域社会、地域企業の課題解決や、新しい産業の創出などに積極的に取り組む、ということです。そのミッションを県庁内で中心的に担っているのが、私たち先端技術挑戦課になります。 具体的には、IoTや遠隔操作ロボット「アバター」の活用、ITを用いた防災・減災などを推進するほか、次世代モビリティの導入による交通課題の解消にも取り組んでいます。合わせて、先端技術に関連した教育の拡充や人材育成、STEAM教育(※)の促進や小中学生向けプログラミングコンテストなども実施。ユニークなところでは、宇宙分野への参入にも注力し、大分空港をアジア初の「水平型宇宙港」として運用する取り組みも進めています。 (※)STEAMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、Art(芸術・リベラルアーツ)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた教育概念 ──これまで、さまざまな取り組みをハイパー研と連携しながら進めてこられたと思いますが、どのような協業体制なのでしょうか。 ハイパー研はそもそも、大手IT関連企業や大分県が出資して設立した団体です。県職員が役員や職員として在籍・派遣されていることもあって、財政的にも人的にも、大分県と密接に連携しているといえるでしょう。 大分県は以前から、地域情報化計画を策定してICT関連の各種施策を推進してきました。当時かなり早い時点で県内の光ファイバー網を整備した際にも、基本構想の段階から同研究所に参画してもらいました。インターネットが普及した現在も適切なICT利活用の促進に向けて、その知見や技術を存分に発揮してもらっている状況です。
「開かれている大分」だからこそ、県外出身の人材が多く活躍
──佐藤さんが特に感じているハイパー研の強みや魅力について、お聞かせいただけますか。 さまざまな知見や経験、スキルを備えた人材が集まっている点が、同研究所の大きな魅力だと思います。研究所スタッフに加え、大分県内外の企業からも多くの出向者が参画しているので、県の枠組みを超えて優秀な人材や高度なノウハウが結集している印象です。だからこそ、期待以上の提案や効果的な施策・運用が実現しているのでしょう。 また、理事長の村上さんが強いリーダーシップを発揮されて、GPUによるAIの利活用といった新しい取り組みにも果敢に挑戦しているのも魅力的です。また、所長の青木さんも広範な見識をお持ちで、頼れる人物です。そんな二人が土壌を築いている組織だからこそ、周囲の協力を得ながらエッジの効いた施策を展開できるのだと思います。 ──今後のハイパー研にはどのような期待をされていますか。また大分県には、県外の人材も十分に活躍できる土壌があるのでしょうか。 ひじき工場の異物混入検査でのAI導入など、GPUによるAI利活用はすでに県内でいくつかの成果を挙げています。近年は地元企業からの「AIを活用した課題解決策」の提案・導入に対する補助金申請も増加しており、同研究所に協力を仰ぐ案件はさらに増えていくでしょう。 県内企業に共通する悩みとして、人手不足などの「量」的な課題と、「匠(たくみ)の技」の継承といった「質」的な課題の2つが挙げられます。同研究所には、これまでも課題解決の貴重な伴走者として活躍してもらっていましたので、これから研究所に新たな人材が参画されるなら、これほど心強いことはありません。県内でのAIの啓発や利活用が進むことで「AIを使えばこれが実現できるのか」という気づきが波及することは、非常に意義深いことだと考えます。 大分県民には「新しいものが好き」な県民性があり、外から来た人を温かく受け入れる雰囲気があります。別府には、多様で国際色に富んだ教育プログラムを展開して注目されている立命館アジア太平洋大学があったり、外国人就労者が多くいたりと、国際的な風土も育っています。また大分市内では新しい産業も柔軟に受け入れており、県外からの移住者も少なくありません。さらには「宇宙ノオンセン県オオイタ」というPR施策にも取り組み、宇宙人すら呼び込もうとするほどです。 今回、採用に至った方々には、ぜひこれまで培ったスキルや知見を生かしていただき、大分県と共に挑戦する気持ちで、力を貸していただきたいです。
募集職種
- 【副業・兼業/リモート可:AIビジネスプロデューサー】大分県内企業へのAI導入プロジェクトの運用
法人営業プロジェクトマネージャー(Web・オープン系)プロジェクトリーダー(Web・オープン系)
問わず
公益財団法人ハイパーネットワーク社会研究所は1993年3月29日の大分県大分市で設立されました。元Google副社⻑の村上憲郎氏を理事⻑とし、ハイパーネットワーク社会*の健全な実現の推進に関する事業を行い、我が国及び国際社会の発展と国民生活の向上に寄与することを目的に様々な活動を行っています。 2019年には「おおいたAIテクノロジーセンター」を開設し、大分県内のAI普及を実現すべく事業推進を行っており、この度、顧客に伴走しAIによる課題解決を推進いただけるビジネスプロデューサーを募集します。 本ポジションは副業・兼業としての募集であり、通信環境があれば所在地を問いません。「AIを用いた課題解決を行っていきたい」と関心をお持ちの方からのご応募をお待ちしております。 <業務内容> 顧客経営課題をAIを用いたハード・ソフトウエアの実装により解決いただきます。 (1)顧客課題のヒアリング・要件定義 (2)適切なソリューションの提案 (3)ソリューション開発に必要な実施体制(AI開発者等の案件参入)の構築 -おおいたAIテクノロジーセンター参加メンバー(県内AI開発者、協力会社等)も活用可能 (4)案件管理 (5)事業計画(推進、資金調達等を含)の作成・実行 (6)AIプロジェクトのサポート・管理・AI実装後の効果検証 〈評価指標及び実働目標 ※初年度は着任時期により応検討〉 (1)ユーザーヒアリング件数(実働延べ20件/年は必須とします) (2)PoC実施件数(実働4件/年は必須とします) (3)AIの実装実現もしくはそれに準じた実証を開始した案件数 (4)AI導入効果とりまとめ件数 〈評価時期・留意事項〉 基本は活動年度の3月に実施します。 また、初年度の活動開始より6ヶ月経過後、活動状況に関する面談を実施します。 上記評価指標・実働状況を総合的確認した上で活動継続が難しいと判断した場合、 その時点で契約を終了とさせていただく場合もあります。