シュナイダーエレクトリックホールディングス株式会社

日本統括代表／白幡 晶彦 ──はじめに、シュナイダーエレクトリックの概要や事業内容について教えてください。 1836年に設立したシュナイダーエレクトリックは、フランスに本社を置く電力・産業機器メーカーです。「あらゆる人がエネルギーや資源を最大限活用することを可能にし、世界の進歩と持続可能性を同時に実現する」というパーパスを「Life Is On」と表現して、持続可能性と効率性を実現するためのデジタルパートナーであることを目指しています。 今後20年ほどで、世界における電力の需要は1.5倍に増加する一方で、世界ではまだ20億人近くが十分で質のよい電力にアクセスできていないといわれています。一方で持続可能性を考えると、CO2排出量は半減させなければなりません。シュナイダーエレクトリックでは、こうした課題を解決するため、効率的に電力を活用する仕組みを作り、人類の進歩とサステナビリティーの両立を可能にすることを目指しています。 ──日本法人が展開する主な事業と、今回採用を強化するHMI事業部の概要について教えてください。 HMIを中心にしたインダストリアルオートメーション、UPS（無停電電源装置）を中心としたIT・データセンターソリューション、そして受配電・制御機器の3つを中心に、日本で事業展開を行っています。なかでもHMI事業部は、HMI分野の世界的パイオニアである株式会社デジタルを2002年に買収して今に至ります。 HMI事業部は、世界中で展開する製品をグローバルビジネスユニットの一員として開発する組織が日本にあることが特徴で、これは外資系企業では珍しいケースだと思います。加えて、電気機器や産業機器は標準規格が国ごとに異なることもあり、グローバルとローカルを兼ね備えた「グローカル」思考で開発・生産・販売を行っています。 また、グローバルのソリューションを日本で展開するうえでは、「日本社会の問題解決に、私たちのテクノロジーをどう適用できるか」をまず考えます。現在なら、高齢化、社会インフラ、サステナビリティー分野の課題解決に注力しています。たとえば産業用途のオペレーター向けアドバイザーツールである「シュナイダーARアドバイザー」を日本で販売する際には、単なる生産性向上やDXに役立つソリューションとしてではなく、高齢化社会の課題解決に寄与するものとして打ち出しています。なぜなら、この製品を使うことで、現場で保守点検をしている70代の熟練経験者の技術を、同じ現場で働き始めた外国人労働者の方にデジタルを通じて継承するといったことも可能になるからです。

──今後の日本法人の事業戦略や目指す方向性など、展望について教えてください。 伝統的な強みを維持する「コアディフェンス」、既存事業に新しい価値を乗せてレバレッジを生む「コアオフェンス」、そして日本の課題解決のために新しい分野のソリューションを生み出す「クリエイトニュー」の3軸で5カ年計画を定めています。 特に「コアオフェンス」や「クリエイトニュー」に関して補足すると、シュナイダーエレクトリックホールディングスはもともとハードウエアの会社でしたが、ソフトウエアの会社を次々と買収することで、ハードとソフトを統合してデジタルソリューションを作り出すビジネスアプローチを取ってきました。先ほどシュナイダーARアドバイザーの話をしましたが、データを集約してさまざまなソフトウエアと産業機器をつなげることで製造現場に意味のある情報やツール、アプリケーションを提供したいと考えています。 ──HMI事業部では、どのような方を仲間として迎えたいとお考えでしょうか。 シュナイダーエレクトリックの日本法人に入社するのではなく、グローバル組織の事業部で世界の同僚と働く気概を持った方を、ぜひお待ちしています。コアバリューでもある「オーナーとして自ら考え行動する」意識を持って、常に当事者として決断し、行動できる方を歓迎します。また、ハードウエアからDX（デジタルトランスフォーメーション）の会社への転換期であるため、変革の触媒となっていただける方を求めています。 成長とサステナビリティーの両立を妥協なく実現すべく、デジタルソリューションを展開する事業は、非常に大義のある仕事だと思います。かつ、十数年にわたって変革を手掛けてきたこれらの事業に今、社会的な追い風が吹いているからこそ、この分野でキャリアを積んでいくことは今後のキャリアにおいても価値があると考えています。また、グローバルのファイナンスや人事、マーケティングなどのトップをさまざまな国籍の女性が務めるなど、非常に多様性にあふれています。全世界に約13万人の従業員全員が、国籍や性別も関係なく活躍できる環境がありますので、日本からグローバルで活躍をしたいという方からのご応募をお待ちしております。

インダストリアルオートメーション ビジネスユニット HMI Line of Business（HMI事業部） バイスプレジデント／石井 友亜 ──HMI事業部の概要について教えてください。 HMI事業部では、主に産業用のHMI製品の企画開発を担っています。事業方針や製品戦略を担うヘッドクオータ拠点を、前身である株式会社デジタルの本社があった大阪に構え、欧州、インド、中国等の開発センターと連携しながら事業を推進しています。 株式会社デジタル時代は、1989年に世界初の産業用タッチパネル（HMI）を開発しました。スイッチやメーターなどのアナログ機器が中心だった制御盤をデジタル化することで、機械や設備の「見える化」に貢献してきました。高温多湿で粉じんが多い環境に耐えうるタッチパネルの開発に成功して、最初は押しボタン式だったところからタッチパネル式へと進化を遂げたのです。この進化は、カーナビの変化を思い浮かべていただくとイメージしやすいかと思います。多数のボタンやレバーが並んでいた自動車の操作系のシステムが、タッチスクリーンを中心にした、インフォテイメントシステムに進化していった過程と似ています。 直近では、ソフトウエアを軸とした開発に注力しています。それは、HMI製品の価値が、主にソフトウエアによって実現されるようになってきているからです。私たちには、HMI製品のハードウエア開発で培ってきた技術的な強みがありますが、それを維持するだけだとコモディティ化すると考えています。これからも新たなイノベーションを起こすため、ハードウエアのプレーヤーから、ソフトウエア、そしてDXのプレーヤーに変革を遂げようとしている最中です。 ──HMI事業部で働く魅力について教えてください。 HMI製品は、産業機器や工場の製造ラインの効率性を高めるために欠かせないものです。特に専用機の分野では世界シェア2位（ARC Reportの2021年データ）など、製品力が高くマーケットリーダーのポジションにいるため、学びも多く、働くことに誇りが持てる環境だと考えています。 また国内はもちろん、世界中のお客様から要望を伺って製品を開発できることもやりがいにつながります。実際に、中東のトイレやフランスの空港の飛行機と空港をつなぐボーディングブリッジなど、身近なところで当社のHMI製品が使われているので、手掛けた製品が社会の役に立っていることを実感しながら働けると思います。 さらに私たちはHMI事業開発拠点であるため、外資系企業の日本支社でありがちな「本国で決まったことを実行する」といった側面はありません。グローバルでの開発費を託されて、予算をどのように使って事業を伸ばし、世の中の役に立つ製品を作るかを自分たちで決断できます。エンジニア自身が運転席に座って、主体的に事業を動かしていくことが可能です。 ──「エンジニア自身が運転席に座って、事業を動かせる」という内容に関連する、印象的なエピソードはありますか。 毎年、主要なお客様を集めた内覧会を開催しており、そこでエンジニアから開発中の製品について説明する機会を設けています。その会のアンケートでお客様から寄せられた要望を、翌年に実現したことがあります。もちろん、ただ「面白そう」といった理由から実現したわけではなく、コストメリットなども鑑みて決断したことですが、すぐに製品化の意思決定をして開発することは、開発部門である私たちに大きな裁量権があるからこそ、実現できたことだと思います。

──HMI事業部の今後の展望について教えてください。 世の中のトレンドを見たときに、専用機のタッチパネルがこれから爆発的に伸びていくことはないと考えており、そこだけに軸足を置いていてはいけないという危機感があります。そこで力を入れようと考えているのが「エッジターミナル」です。ITやクラウドを活用して、モーターなどの産業界のさまざまなデバイスをコントロールする重要性が増していますが、ITやクラウドとデバイスを直接つなぎ合わせて、データをためたり送ったりすることはできません。そこで双方を仲介してデータを集め、OEE（設備総合効率）や予知保全に資する役割を担うエッジターミナルが求められています。理想的なエッジターミナルを作るうえでは、HMIの要素技術が非常に役立つため、この領域に軸足を置いて開発を進めていければと考えています。 ──HMI事業部では、どのような経験やスキル、マインドを備えた方と一緒に働きたいですか。 マインド面では、「自ら運転席に座り、ハンドルを握ってアクセルを踏みたい」という気概を持った方に来ていただきたいです。開発拠点は大阪とはいえ、台北、上海、インド、カナダ、フランスなどの拠点にいるメンバーと協働して製品開発を進めていくため、グローバルマインドは必要です。HMI事業部で数年経験を積んだ後に、別の事業を手掛けているフランスの開発センターやシンガポールの拠点に異動したメンバーもおり、ご自身の希望と実績に応じて海外で働く扉も開ける環境ですので、技術もキャリアも伸ばしたいという方と働けることを楽しみにしています。

Software Design Engineer／福井 紗恵子 ──福井さんが転職された経緯や入社の決め手を教えてください。 新卒でSIerに就職して、フルスタックエンジニアとしてWeb会議システムの開発に携わりました。国際的視野を身につけ、将来のキャリアアップにつなげるため、カナダに拠点を移し、現地のスタートアップでモバイルアプリの開発に携わりました。そこで働いていた際に、ビジネスSNS経由でオファーがあったうちの1社が当社でした。グローバル展開の視野が広いことと、「世界で最もサステナブルな100社」への選出実績があるなど、社員やサステナビリティーを大事にしつつ事業を展開していたことに引かれました。海外での経験を生かせることも希望条件に合致していたので、転職を決めました。 ──Software Design Engineerとして、これまでに担当した業務内容について教えてください。 既存のHMI製品には、Web版がなかったのですが、今後製品を展開していくうえで「既存のHMI製品のWeb版」が必要不可欠となり、そちらの開発リードを期待されて採用されました。そのため、入社後すぐにWeb版の開発担当となり、現在は既存のHMI製品の開発も併せて両方を担当しています。 既存製品は主にインドのメンバーと、Web版はフランスのメンバーと開発を進めていて、コミュニケーションはチャットやWeb会議で行います。会話は英語ですが、開発関連の専門用語が中心のため、コミュニケーションが取りやすいように思います。 ──福井さんが印象に残っているプロジェクトはありますか。 やはり、入社してすぐに担当した「既存のHMI製品のWeb版」のプロジェクトです。先輩社員にWeb開発に関する技術者がいなかったため、開発するうえでのルール作りや開発環境・要素技術の選定から始めました。複数の選択肢から最適と思われる方法を1つずつ検討し、作成していきました。途中で、選んだ技術がうまく組み込めないなどのトラブルもありましたが、試行錯誤した結果、無事に製品を完成させることができ、感慨深いものがありました。 また、このプロジェクトは、国内外のさまざまな部署と連携し、皆の意見を取り入れながら、2年ほどかけて開発を行いました。海外のメンバーからは「このアイコンは外国人にとって視認性が良くない」と国内のメンバーだけでは気づけなかったフィードバックを受けることもありました。海外のメンバーからの意見は、自分たちでは思いつかない視点もあったので、今後の製品開発にも役立てられる多角的に物事を見る経験ができました。

──入社後、HMI領域の知識を付けてエンジニアとしてスキルアップするうえで、役立った経験はありますか。 基本的にHMI領域の知識はOJTで先輩から教わる形でしたが、主要なお客様を招いた製品内覧会で、直接お客様からご意見を伺えた経験は貴重でした。他にも、実際にHMI製品が使用されている現場を見学する機会もありユースケースやトレンドなどの製品理解を深めることができ、新規機能のアイデアが浮かびやすくなりました。 ──Software Design Engineerとして、HMI事業部で働く魅力はどのようなところにありますか。 ハードウエアとソフトウエア両方の開発を手掛けているグローバルカンパニーなので、さまざまな分野のプロフェッショナルから学べる点が刺激的です。技術面の勉強会はもちろんのこと、財務や顧客満足度、LGBTQや女性のキャリアプランなどの理解を深める会も開催され、実務外の知識もアップデートできます。 また、直属の上司と隔週で1on1ミーティングがあり、自身の仕事状況やキャリアパスについて相談でき、キャリアデザインをしやすいことも魅力です。そこで、海外勤務や異動などの希望も伝えることができます。 社内環境はとてもフラットで、メンバーが上長にストレートに意見を言える社風も魅力的です。たとえば、開発プロセスにおいて「このやり方があまり良くない」「スピードが遅い」といった意見が上がったら、過去の成功体験や今までのパターンにとらわれず、すぐに改善をしたり、新しい手法を試したりできる文化があります。それにより、スピード感を持った製品開発ができていると思います。 ──HMI事業部のエンジニアには、どのような経験やスキル、マインドが必要ですか。 データ分析・Linux・AIなど、何らかの分野のエキスパートであり、自身の知見を製品開発に生かせる自信のある方を求めています。技術が日々進化しているため、新しいことに挑戦して得た学びを、チームメンバーに共有できるスキルを持った方と一緒に働きたいです。また、モノづくりに喜びを感じ、顧客に驚きと感動を与える製品を作りたいといったエンジニアマインドが必要だと思います。 IT領域のエンジニア×英語を武器にできれば国内外のどこでも働けますし、今まさに社会から求められている分野であるため、長期のキャリアパスを考えた際にもおすすめの環境です。また、フルフレックス勤務が可能なので、1日2時間だけ働いたり、子どものお迎え後に仕事を再開したりできるなど、自身の変化するライフステージに合わせて柔軟な働き方を選択できます。そのときのライフスタイルに応じて活躍していただけると思いますので、ぜひご応募いただければと思います。