東京科学大学(旧東京工業大学、旧東京医科歯科大学)

東京科学大学(旧東京工業大学、旧東京医科歯科大学)

世界を驚かせる研究――経営のプロ人材として事業化をリードする

2024年10月、東京医科歯科大学と東京工業大学が統合し、東京科学大学が誕生しました。同大学では大学発スタートアップの創出・成長支援に注力しており、研究者に伴走しながら経営のプロフェッショナルとして事業化を推進する「客員起業家(副業・兼業)」を募集しています。東京科学大学で世界レベルのスタートアップ創出を目指す醍醐味とは何か。工学と医療分野で事業化を目指す研究者2名にお話を伺いました。

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募集期間:2024年12月17日(火)〜 2025年1月13日(月)

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  • 直感的に操縦できるコントローラで、誰でも熟練者レベルに

    東京科学大学 工学院 准教授/三浦 智 ──はじめに、三浦先生の研究内容(直感的に操縦できるコントローラ)について教えてください。 私の研究室では現在、多様なロボットや乗り物を直感的に操縦できるコントローラ「iFeel Haptic Device(以下、IFHD)」の研究に取り組んでいます。これまで医療における手術支援ロボットの研究をするなかで、その技術をインフラに応用できないかと考え、この研究に取りかかりました。 ドローンや建設機械などの乗り物はX軸、Y軸、Z軸による直交座標系に合わせた速度制御によって動くという特徴があります。そのため、自分が思った通りに動かすには慣れと経験が必要で、熟練の操縦者にしか動かせないという問題がありました。 独自に開発したコントローラ「IFHD」は、人間が動かしやすい座標系を用いて誰でもこうした複雑な操作ができる技術です。従来に比べて、初心者の操縦の成功率が4倍に向上したり、操作時間を20%短縮したりといった効果が得られています。 日本ロボット学会の研究奨励賞を受賞したり、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「官民による若手研究者発掘支援事業(若サポ)」に採択されたりするなど、非常に注目されています。 ──三浦先生の研究が事業化された場合、どのような分野で活用されることを期待していますか。 2年以内での事業化を考えています。特にターゲットとしているのは、ロボットアームなど産業生産面での活用や、重機類の操作など、立体的な自由度が必要で、かつ速度制御が求められる操作を要する分野です。 具体的なビジネスモデルとしては、ロボットアームやドローンといったアプリケーションのコントローラとしてBtoB向けに販売することを想定しています。初めにどの分野で事業化するかによって事業に与えるインパクトが異なりますので、まずはどの分野で技術を実装していくかを検討する必要があります。 ロボットティーチングペンダント(リモコンのようなデバイス)の世界市場規模は、2030年に5億米ドル以上が見込まれ、2023年から30年にかけての年平均成長率は5.83%と予測されています。日本だけではなくグローバルでも成長性のある領域だと考えています。

    社会実装に向けた鍵は、IFHDをどの産業やシーンで活用するか

    ──三浦先生の研究が事業化された場合、世の中にどんな影響を与えるでしょうか。 これまで熟練者にしかできなかった操作を、誰もが直感的に行えるようになる点で、この技術を生かせる分野において人手不足の解消に役立ちます。また、従来に比べて操作成績が向上する結果も得られているので、建設現場の作業の効率化や安心安全の向上にもつながると考えています。 活用現場のデータが増えるほど、さまざまな利用パターンが見えてきますので、個々の使い方にフィットしたモデルを生み出せます。まずは汎用的な共通モデルを作り、データが蓄積したところで個別にカスタマイズしていく予定です。 ──客員起業家の業務内容や期待する役割について教えてください。 まず、IFHDをどの産業やシーンで活用するかを探すところから共に取り組んでくださる方を求めています。すでにさまざまな領域でコントローラの実証実験とAIによる精度向上に取り組んでいます。技術的な側面からの開発には知見があるものの、経営や営業戦略における知見がありません。この技術が生きる産業や営業先を探して、事業戦略からアプローチを担っていただけると心強いです。 現状、当研究室と協力先の企業とで検討を進めています。着任後は、研究者や協力企業、大学の起業支援組織などと連携しながら、IFHDの事業化に向けて活動していただきます。プロジェクトの進め方は、週1回ぐらいのペースでメンバーとのミーティングに参加していただくことを想定しています。対面とリモートのいずれも可能です。 業界問わず事業の立ち上げを力強く推進した経験のある方や、営業組織のリーダーとして現場を率いてきた方に、この技術が光るところを探していただきたいです。

  • 治療薬を的確に疾患部位へ届ける技術で、医療の発展に貢献する

    東京科学大学 総合研究院 化学生命科学研究所 助教/本田 雄士 ──はじめに、本田先生が研究されている新規薬物送達法(以下、ドラッグデリバリーシステム)を用いたバイオ医薬品の開発について教えてください。 「ドラッグデリバリーシステム」とは、治療薬を体内の特定の部位に届ける技術で、必要な量を必要な部位に、適切なタイミングや時間で作用させるとともに、副作用を最小限に抑えることができます。この技術を用いてバイオ医薬品の開発を行っています。 ドラッグデリバリーシステムは画期的な研究であるものの、治療薬が高額となり一部の患者しか利用できない可能性がありました。そこで、薬剤の表面をポリフェノールでコーティングし、疾病の部位まで分解することなく効率よく届ける技術を開発しました。マウスを使った実験では治療効果が確認できており、かつ、疾病部位に届くまで安定して構造を維持できていることがわかっています。 世界でも関心が高まっており、2023年にノーベル賞候補になった片岡一則先生もドラッグデリバリーシステムを研究しています。 ──ドラッグデリバリーシステムの現状の課題と、今後の事業化に向けた展開について教えてください。 ドラッグデリバリーシステムの技術は高いポテンシャルを秘めています。抗体医薬品や核酸、バイオ技術によって作られた、さまざまな医薬品の効果を上げる可能性があります。逆に言えば汎用性が高すぎて、最初どの薬剤にこの技術を適用していくか、絞り切れていない現状があります。実験データ等を活用して最も効果の得られそうな薬剤を見つけることが、喫緊の課題です。 今後は、2028年の事業化を目指して、2024年から2025年にかけて最初に技術を適用する薬剤を特定、その後は治療効果や副作用の検討などを行い、2027年には臨床試験を行いたいと考えています。 今後もドラッグデリバリーシステムのニーズは右肩上がりに伸びていくと予想されます。私たちは日本国内だけでなく海外市場への展開も視野に入れています。

    治療の幅を広げる可能性ある技術。その事業化にゼロイチで携わる

    ──ドラッグデリバリーシステムの研究にかける思い、社会的意義についてはいかがでしょうか。 この研究に携わり始めたのは、修士時代に製薬会社へのインターンを経験したことがきっかけです。日本で認可されている医薬品は、ほとんどが海外製。その購入費を税金で賄っているという現実があります。画期的な新薬は高騰し続けており、海外では数億を超える事例も出ています。こうした現実を目の当たりにし、既存の薬の効果を最大化させる技術で国益に貢献できないかと考えました。 今後、臨床での実験データが蓄積することで、想定した以上の治療効果が明らかになったり、技術に関する新たな発見があったりする可能性は十分考えられます。また、この技術が実用化に耐えうると証明された場合、治療できる病気の幅が広がっていくと思われます。この技術を使うことで、例えば薬の摂取回数を毎日1回から1週間に1回に減らせるなど、患者のQOL改善が期待できます。 事業化に向けて現状はまだまだ課題だらけですが、チームで議論し検討を重ねています。全員でブレークスルーを体験しながら達成感を得られる、そんな体制で研究を進めていけることにやりがいやおもしろさを感じています。 ──客員起業家の業務内容や期待する役割について教えてください。 現状、事業計画のたたき台の作成に向けて、学生、大学の起業支援担当の方やベンチャーキャピタル出身のメンターとともに議論を進めています。この技術の事業化には、どの病気の治療に使うのがいいのかが肝になります。そうした部分も含めて事業計画書を共に作成していただきたいと考えています。 これまでスタートアップの立ち上げに携わっていた方、コンサルティングファームなどでプロジェクトを推進した経験がある方とご一緒できると心強いです。フットワーク軽く仮説を立て、検証し、挑戦するマインドを持った方にご参画いただけたらと思います。創薬分野の知見は私たちからお伝えします。 最初は月に一度、1時間ほどのミーティングを基本とし、その後資金調達に動く段階では、より綿密な事業計画を練るため、週1~2回ほどミーティングすることになると想定しています。 バイオ医薬品の領域は、事業化してすぐ高収益化できるわけではなく、10年ほどの長期にわたって取り組む必要があります。ドラッグデリバリーシステムは世界の医療の発展に資する可能性のある技術だと自負しています。私たちとゼロから一緒に歩んでくださる方をお待ちしています。

募集職種

  • 【副業兼業】客員起業家(治療薬を的確に疾患部位へ届ける技術の実用化支援)

    経営者・CEO・COO等事業企画・事業統括経営企画・経営戦略

    東京都

    【募集背景】 本田 雄士助教(東京科学大学 総合研究院 化学生命科学研究所 西山・三浦研究室)と伴走しながら、プロジェクトの起業を、オーナーシップをもって推進してくれる客員起業家(EIR:Entrepreneur in Residence)を副業兼業で募集します。 【プロジェクト概要と課題】 当プロジェクトは、治療薬を効率的に特定部位に届け、副作用を最小限に抑える「ドラッグデリバリーシステム(以後、DDS)」技術を活用し、バイオ医薬品の開発を目指しています。研究成果としてポリフェノールコーティングによる薬剤の安定性向上技術を開発し、実験段階で優れた治療効果を確認しており、従来の医薬品では難しかった治療効果の向上や患者のQOL改善を可能にする画期的なものであり、国内外で注目されています。 しかし、汎用性の高さゆえに、どの薬剤に適用するのが最適かを明確にする必要があり、事業化に向けた計画の立案が重要な課題となっています。 本ポジションでは、この技術を基にした事業を推進し、2028年の実用化目標に向けて具体的なアクションを共に進めていただきます。 【プロジェクトスケジュール】 2024~2025年: 技術適用対象薬剤の特定 2026~2027年: 臨床試験準備と副作用評価 2028年: 商業化・製品展開 【期待する業務内容】 ・事業計画の立案と推進  -DDS技術の適用対象となる薬剤の選定に向けた戦略策定  -資金調達計画の策定と実行 ・市場分析と戦略立案  -バイオ医薬品市場の動向調査  -国内外市場を視野に入れた展開計画の作成  -仮説検証を通じた事業モデルのブラッシュアップ ※創薬分野の知識は問いません。研究チームがサポートします。

  • 【副業兼業】客員起業家(直感的に操縦できる次世代コントローラのビジネス化支援)

    経営者・CEO・COO等経営企画・経営戦略営業企画

    東京都

    【募集背景】 三浦 智准教授(東京科学大学 工学院 三浦研究室)と伴走しながら、プロジェクトの起業を、オーナーシップをもって推進してくれる客員起業家(EIR:Entrepreneur in Residence)を副業兼業で募集します。 【プロジェクト概要と課題】 当研究室では、直感的操作が可能な次世代コントローラ「iFeel Haptic Device(以後、IFHD)」を開発しています。 熟練者が必要とされていたロボットや重機の操縦を、初心者でも効率的に行えるようにする革新的な技術であり、医療分野での研究成果を基に、インフラや産業分野への応用を目指しております。 これまでの技術開発には多くの成果があり、研究奨励賞の受賞やNEDOのプロジェクト採択なども果たしています。しかし、事業化に向けた具体的な営業・経営戦略が課題となっており、本技術を活かす市場や業界へのアプローチを担うプロフェッショナルを求めています。 【プロジェクトスケジュール】 初期段階ではBtoB向けに製品を提供し、各産業への導入を進めます。以降汎用的なモデルを開発し、データ収集後に個別カスタマイズを展開します。 市場規模は拡大傾向にあり、ロボットティーチングペンダントの世界市場規模は2030年に5億米ドルを超える見込みです。 【期待する業務内容】 ・事業戦略の立案と実行  -IFHDの最適な市場・活用分野の選定  -IFHDの活用可能性の検証と実証実験の支援  -市場調査を基にした事業化の優先分野を決定し、事業計画を策定 ・営業・アライアンス戦略の推進  -ターゲット市場へのアプローチ  -潜在顧客の特定および営業活動の実施  -企業や産業界とのパートナーシップ構築  -研究チームや行政機関との連携 ※戦略、営業においては得意領域を中心に関わっていただく予定です。